悩む子どもを育てる親 子どもの才能を伸ばす親
日本評論社
少子化・少数家族化のため、子どもの多くはほとんどを母親との関係性で幼児期を過ごします。習い事も親が決めます。今では、思春期以降或いは一生、親の影響が強く子どもに反映する時代になりました。つまり、子どもの一生が親の育て方で決まる時代になったのです。そのため、親の育て方に問題があると、誰にも修正されませんから、その問題を終生抱え込みます。人間には全て欠点があるものです。親にもありますが、それを修正する人が家族内にいないのです。親の問題が直接に子どもに影響してしまいます。とくに、臨床で強く思うのは、親は「子どものため」と思ってしていることが子どもにマイナスになるような育て方です。「知らぬ間に悩む子供を育てる親」となります。一方で、スポーツを中心に思春期の子どもたちの活躍は目を見張るものがあります。しかも、彼らは伸びやかで心も健やかに育っています。そうです、心が健やかに育つのには、ある条件が必要なのです。本書では、悩む子どもを育ててしまう親の態度、健やかで健康な子どもが育つための親の対応の必要条件、そして、才能を伸ばすためのある種の条件について具体例を挙げながら、わかりやすく述べてあります。子育て中の親はもちろんのこと、自分はどのように育てられたのかということを見直すため大人になった方にも参考になる内容となっています。また、教育者や臨床家にも極めて示唆になる内容が豊富に述べられています。
子どもの人生は親の育て方で決まる時代になりました。望ましい育て方を知っておくことは絶対に必要なことです。
実践 心理療法
治療に役立つ統合的・症状別アプローチ
金剛出版
著者の心理療法(精神療法)における30年以上の経験と研究の集大成の書である。精神分析から始めて、主要な学派・技法を学び実践してきた臨床家でなければ書きえない内容となっている。
現代は、認知行動療法が全盛期を迎えているが、それは症状に特化した考えに基づいている。そのため、これまでの精神分析・ユング心理学・来談者中心療法などの目指した人生全体を扱うアプローチに欠けている。
著者は、少なくとも、悩みのモデルとして、外傷体験モデル、葛藤モデル、偽りの自己モデル、欠損モデル(必要な体験が欠けている)が必要であり、それぞれの学派はその一つのモデルを取り上げたものであると考える。そして、本来、心理療法は各モデルによって、理解と治療的アプローチを変える必要があると説いている。
臨床家はもちろんこと、心理療法を学んでいる人、学ぼうと考えている人には必読書である。 -書評より
子どものまま中年化する若者たち
根拠なき万能感とあきらめの心理
幻冬舎
若者を中心にエネルギーの低下が目立つ。それが臨床にも、一般の社会でも目立つようになっている。若者は、バブルがはじけて以来、方向性を失い、理想を失い、小さくまとまろうとし始めている。そのことが臨床では葛藤が希薄になり、自分にこもる子が増えることに影響している。しかし、一方で、ガツガツしていない良さを持つようになっている。新しい若者が増えている。
群れで生きるように進化してきた生き方が変化し始め、家族だけや一人で生きるようになった現代の若者の心の風景を描いている。
3万部近く売れた良書である。
10歳までの子を持つ親が知っておきたいこと
講談社
思春期に悩みはじめると立ち直りに時間がかかる。うつ病とともに、思春期臨床を専門領域にしてきた著者が、思春期に悩み始める子どもの親の育て方には特徴があることから、逆に思春期を健康に生きられる子どもを育てるヒントを具体的に示したものである。
特に、学童期こそが人の生き方を決めるという考えが示されている。子どもに携わる教育者や臨床家にも参考になる内容になっている。
うつ病がよくわかる本
日本評論社
筆者が、もっとも力を入れて臨床でかかわっているのがうつ病である。産業医としても、精神科医としても、心理療法家としても、ここ10年は、徹底して治療法を工夫してきた。それを、専門家にも一般の方にもわかりやすく、うつ病について最新の報告を盛り込むとともに、筆者自身の実際の臨床に即した心理療法的アプローチーとしての「3・step アプローチ」を詳細に述べたのが本書である。本書を読んだ多くの方から、講演依頼を受けている。
必ずしも認知行動療法ばかりがうつ病の心理療法に適しているばかりではなく、時には、それでは不充分であることも述べている。
また、本書は、日本うつ病学会の設立総会における精神科医向けの教育講演がベースとなっているが、一般の方にもわかる内容になっていると思う。
変わりゆく思春期の心理と病理
物語れない・生き方がわからない若者たち
日本評論社
長年にわたって、大学病院で思春期専門外来を担当してきた経験から、若者たちの悩みが大きく変わっていることを明確にしつつ、その要因を家族状況や群れ体験の喪失などを中心にして論じたものである。特に、語れなさ、悩みぬく力の低下などについて、あらたな世代のこれまでにない苦しみについて考察したものである。やはり、「思春期の心理と病理」については文科省や教育委員会関連らの講演の依頼が多い。多くの臨床家や教育関係の方が新たな若者の、新たな悩みの構造に悩まれていることがわかる。
身体醜形障害
なぜ美醜にとらわれてしまうのか
講談社
容姿が醜くないのに極めて醜いと悩む心の病を「身体醜形障害」と呼ぶ。筆者が長く研究してきたことから、一般向けに講談社が、我が国としては初めて、単行本として出版したものである。この悩みは、極めてくるしい悩みであり、家族もその対応に苦しめられることが多い。しかし、この悩みを専門的に治療できる専門家がほとんどいないことも確かである。容姿を悩んでいる方や、わが子が悩んでいる方も、また専門家も一度は、読まれることをお勧めする。
対人恐怖・醜形恐怖
「他者を恐れ・自らを嫌悪する病い」の心理と病理
金剛出版
筆者のロングセラーとなっている著書である。人といると緊張する、人の視線が気になる、人とどのように振る舞えばよいかなどを悩むのが「対人恐怖症」である。その心理的メカニズムを家族状況を中心に明確にした内容になっていると思っている。
また、身体醜形障害と同じ意味の醜形恐怖症についても、病理学的に論じている。この種のテーマを研究しようとする方、あるいは、一般の方でも、対人不安について考えたい方には極めて参考になる内容となっている。
摂食障害の最新治療
どのように理解しどのように治療すべきか
心理療法のできること
できないこと
思春期臨床の
考え方・すすめ方
新たなる視点・新たなるアプローチ
心理療法を学ぶ
基礎理論から臨床まで
思クレッチマーの思想
こころとからだの全体理論
母と子・思春期・家族
子どもの心を理解するために
思春期病棟・理論と臨床